私がパピ子の治療を断念した理由の一つには
主治医の先生の言葉もありました。
自らも小型犬を飼っているという先生は、
これまでもワンコのがん治療に関わり
そして自分の身内をもがんで亡くされた方でした。
「治療がどれだけ辛いものか私は見てきました。
2,3年も延命できるのであれば、私だって手術や治療を薦めます。
ですが、再発・転移を繰り返す度に手術して
抗がん剤をまた一からやり直して
パッピーちゃんには安らげる日があるのでしょうか?
飼い主さんがやると言ったら、私達は従わざるを得ません。
ですがもし、私が○○さんの立場なら
短くても生活の質の良い方を選びます。」
この言葉が私が延命を放棄した最大の理由ではないにしろ
多少なりとも影響を与えたことは事実です。
そして延命しないことを告げました。
症状が進むと肺に水が溜まり呼吸が苦しくなること。
その水を抜けばいくらか楽になること。
しかしその症状が頻繁になってくるともう終わりに近いこと。
最後は苦しみしかないこと。
「その時は、
安楽死も考えておいて下さい。」
先生は静かに言いました。
私はただ泣くだけで返事ができませんでした。
「延命はしない」
そう決めたはずなのに、先生にもそう告げてしまったというのに
それから私は毎日悩むこととなりました。
毎日毎日
、「本当にこれで良かったのか?」と。
私の決断は間違ってなかったのか?
生きられるかもしれない命を潰してしまったんじゃないか?
この決断こそ私の勝手な思いではなかったのか?
4ヶ月なんて短すぎる!
そんな思いに耐えきれず、毎日のように泣いてばかりいる自分がいました。
そんな私を見て手の隙間から
慌てたようにペロペロと顔を舐めてくれるパピ子。
じっと見つめるまる。
彼女達が不安になることに気がついて
泣くのはお風呂場と決めました。
お湯をジャブジャブ音をたてながらひっそりと泣きました。
でも、たくさん泣いたら、そのうち「後悔しても仕方がない」と
思うようになりました。
いくら泣いても事実は変わらないし、望みが叶うわけでもない。
泣いて奇跡が起きるわけでもない。
何かしなければ、何も起きはしないのに。
最後に残された道は「パピ子の生命力」に賭けることだけです。
「免疫力」をあげること。
たいした事はできないかもしれないけど。
食事・サプリメント・日常の生活。
まず、パピ子が楽しい!と感じることのできる毎日にしよう。
なるべくストレスのない生活。
パピ子の事で、今日できる事を明日に延ばさない。
単純だけど、それが、私がパピ子に約束できる闘病の第一歩でした。
そして、特別扱いしないこと。
病気だからといって過剰に世話を焼いたり、甘やかしたりせず
大らかに見守っていくこと。
「いぬきも」相談室にも手紙を送りアドバイス頂いたり
実は、パソコンも情報収集のために始めた事でした。
ブログも、同じ病気で闘病をしているワンコがいないか探して
参考にしたかった為です。
宣告された4ヶ月を過ぎてから、あと一ヶ月、あと一ヶ月
冬まで、春までと指折り数えながら過ごしてきました。
そして、今日、この日が迎えられるとは思ってもみませんでした。
あれから一年。 身体の表面には再発はみられません。
パピ子の身体の中で何が起こっているのかはわかりませんが
私は今の時点でCT検査は考えていません。
検査結果が良くても悪くても、今の生活を変えることはないからです。
約束はずっと継続だからね、パピ子。
「いぬきも」WEBに参加してから8ヶ月。
たくさんの方の記事を目にしました。
励まし励まされ、教え教えられ、ここに来れば遠慮なく犬談議ができる。
わかってくれる仲間がいると支えられる。
楽しい記事もあるけれど、悩んでる記事、
私のように決断に迷ってる記事もある。
ですが、私は思うんです。
あなたの出した答えに間違いはないと。
右を選んでも左を選んでも、どちらも正解なのだと。
なぜならその決断は、全て、どうしようもないくらい
愛犬を想ってのものだから。
一生懸命、悩んだ末の選択だから。
だから自信を持って、自分の信じる道を突き進んでほしいと思います。
愛犬が「生」を満喫する為に。
そして、あなたが後悔することのないように。